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小売店舗のセキュリティ(クラウド型監視システムの事例)

老舗セレクトショップSHIPSとは

衣類や小物などを販売するセレクトショップの草分け的存在である株式会社シップス(SHIPS)は、1坪半の「ミウラ」として東京上野のアメ横での開店からスタートし、1975年には「ミウラ&サンズ」を渋谷にオープン。その後、1977年に「ミウラ&サンズ」を大元とした「SHIPS」1号店を銀座で開店しました。
現在ではSHIPSブランドで名古屋、札幌、仙台、神戸、大阪などをはじめ日本各地に進出して、現在全国に80以上の直営店舗を構えています。1990年には、自社による物流センターS.C.C(シップス・コントロール・センター)を開設しています。

従前の防犯システム

SHIPSが採用していた防犯対策は、商品・在庫管理の目的で導入したRFIDタグとゲートによるEAS(万引防止システム)でした。しかし、防犯システムとしては、手間とコスト、煩雑な操作、さらに誤作動などの課題が生じていました。そこで2014年にアナログ映像監視システムを導入することになりました。本システム導入にあたりSHIPSが要望した点は、「死角を減らして録画する」ことでした。導入したアナログカメラは店舗によって異なりますが、各店舗10台前後と録画データ記録用DVR1台でした。システム導入時にサポート契約を締結しましたが、契約期間に受けたサポート内容は故障機器の交換程度でした。

アナログ監視システムの問題点

当初導入したアナログ監視システムは、専用画面で確認するためのモニタと録画用ハードディスクなどの機器を各店舗のバックヤードに設置しなければいけませんでした。
また、運用管理やメンテナンスの点では、店舗に設置したカメラの故障や、録画機器の機能停止などが重なったこともありました。さらに万引をはじめとする事件発生時に、スタッフが録画データを警察や保険会社などに提出するために、データを複製する作業が必要で、これがスタッフの負担と時間のロスを招きました。
このように様々な問題が発生してきたことで、2016年にSHIPSは監視カメラ・システムの刷新を決断したのです。

次期監視システム選定時の条件

SHIPS側は、システム提案企業に対して、店舗にハード・ディスク・ドライブ(HDD)を設置しないこと、ネットワーク帯域を使い過ぎないことという条件を挙げました。情報システム部課長の阿部一成氏はクラウド型システムの選定を第一条件に加えました。これには、限られたスペースのバックヤードだけでのシステム利用を避け、店内の販売用ネットワーク・システムへの負荷を軽減するという目的がありました。
複数の提案内容を検討した結果、採用したのはイーグルアイネットワークス社Eagle Eye Cloud VMSでした。株式会社シーネット社が導入を担当しました。

イーグルアイ社Eagle Eye Cloud VMS

Eagle Eye Cloud VMSを選定した決め手は、店舗にモニタもHDDも設置せず、映像送信時の帯域調整ができることでした。 具体的な点について、阿部氏はクラウド型により、大規模な記録用ハードウェアを必要としない点と、在庫管理やPOSなどの既存のネットワークに影響しない通信帯域の点を挙げました。

Eagle Eye Cloud VMSシステムの特徴

Eagle Eye Cloud VMSは、映像データをバッファするブリッジ機能を備えています。帯域使用の少ない夜間に、バッチ処理でクラウドへデータを送信することができます。このため、新たなネットワークを用意するなどの対応が不要だった点が魅力的でした。さらに、主要監視カメラ・メーカのカメラ・ドライバが用意されており、使用するカメラを選ばないのも特徴でした。

導入効果

Eagle Eye Cloud VMSシステムはSHIPS14店舗と物流センターS.C.Cに導入されていますが、システム推進課課長の阿部一成氏は、導入効果として下記の項目を挙げています。

●クラウド上の映像とリアルタイムでのモニタリング

Eagle Eye Cloud VMSの導入により、店舗に設置された監視カメラの映像がクラウド上に保存されるようになりました。これにより本部からは全国各地に構えている店舗の現状をリアルタイムでモニタリングでき、一元監視できるようになりました。しかも、PCかモバイルのどちらからもアクセス可能で、いつでもどこでも複数ロケーションの一元監視ができます。
また、防犯以外にもカメラ映像で店舗状況を確認できるようになりました。これについて、何かあった場合でも基本的に本部側でサポートができる上に、一つの画面で店舗状況の監視もできるようになったため、労力が減ったことも挙げています。

●高解像度映像での記録

鮮明な高解像度映像を記録することで、タグやゲートに頼らない防犯体制を構築できます。タグの管理だけでなく、万引や不正行為などの抑止、そして、万引被害の発生時の当局への証拠データ提出作業も不要になりました。

●設定が簡単で使いやすい

管理画面が使いやすく、表示項目のカスタマイズや『この店舗の映像だけを店舗の責任者に見せたい』といった権限の付与も容易に行えます。動体検知機能では、何かが動いていると検知して録画映像にフラッグが立ち、どのタイミングで誰が来たのかという詳細までわかります。

●システム運営の安定化

クラウドにデータを保存するため、HDD損壊時のメンテナンス費用がかかりません。また、カメラ本体の故障時でも、故障前の録画データはクラウド上に保管されるので安心できます。

想定を超える導入成果

阿部氏は、描いていた導入効果だけでなく、想定を超える導入成果についても紹介しています。

●店舗スタッフの負担の軽減化

社内システム担当者の負担やシステム運営における手離れの良さが良いということ。基本的に一度だけの店舗説明を行い、以降はシステム担当のサポートは不要になりました。また、何よりも大きかったのが店舗スタッフの心理的な部分だと付け加えます。「目に見えるものではないが、店舗スタッフが安心して働ける職場環境を整備できた効果も大きいと感じています」(阿部氏)。

●システム運営の効率化

運用コストの試算では、RFIDによる商品管理が副産物をもたらしました。RFID導入により店舗の棚卸し時間を70%削減することができ、棚卸しの時期を毎月1回にしたことで、監視映像保存期間も1カ月で済むことになりました。その結果、クラウドでの録画データ保存期間を短縮化できたことで、データ容量や課金料金が圧縮され、コスト削減にも繋がりました。

●店舗スタッフの働き方改革を実現

SHIPSでは店舗の従業員の働き方改革にも積極的に取り組んでおり、「テクノロジーを使って店舗運営をさらに効率化していくことは今後も重要なテーマ」を掲げています。その成果の一つとして、グランフロント大阪店では2017年2月に残業ゼロを達成しました。

今後の展望:マーケティング分析などへの活用も

阿部氏は、今後の展望としてカメラ映像の用途拡大を考えています。これまでの防犯目的での活用だけでなく、ピープルカウントや属性検知などマーケティング分野での活用を目指している。同一来店客の来店履歴、来店時の店舗内動線、購買履歴、推定される属性などの分析などです。
これについて、阿部氏は現状では法規制の面でも難しい点を把握しています。個人情報保護法の範囲だけでなく、プライバシー保護の観点からも、より広範な配慮が必要になることです。マスキングや画像解析AIなどで個人を特定できない形まで画像精度を変更して、「防犯とマーケティング分析の双方を、同一システムで実現したい」と阿部氏は抱負を語っています。

イーグルアイネットワークス社のEagle Eye Cloud VMSシステムは、導入したSHIPSに店舗内の映像監視によるセキュリティ・システムの提供だけでなく、店舗と倉庫管理の効率化を実現し、さらに企業の働き方改革というテーマについても一定水準以上の成果をもたらしました。SHIPSは、今後全ての店舗での導入を推進することで、前述の三つの導入効果を大きく全社的に普及させることができるでしょう。

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